第三シーズンもかなり盛り上がってる本作。
ここ数日、ようつべにて貪るように見ておりました。

んで。侵略期限が迫る。
こうなると問題なのは、侵略するか、地球から撤退するか。

ちなみにネタバレにはなるけど今回のあらすじをざっと書いておくと、マッシュ(侵略期限タイマー)から出現したキルルは、ケロン軍がオリジナルを元に作った固体で、未成熟のまま生まれてきたキルルドット(命名:クルル)らしい。んで、オリジナルが憎しみなどの負の感情を糧としていたのに対し、ドットは優柔不断のエネルギーを吸収して成長している。ケロロには懐いているようだ。侵略するか撤退するか悩むケロロのエネルギーを吸収してどんどん巨大化していく。
そして、ケロン軍の母艦が出現し、1時間以内に不完全なキルルを渡すか、さもなければ強制退去という最終勧告を行い、負の感情を吸収・制御する量産型キルルにて基地制圧を開始。これに対しても悩むケロロの優柔不断エネルギーがキルルドットの許容限界を超え、そのエネルギーが原因でケロン軍母艦が優柔不断に。さらにキルルドットはそのまま母艦と共にケロン星に向かい、ケロン星自体が優柔不断になることで侵略期限はうやむやになった。

ケロロ軍曹という作品は、最初なめてかかってました。ただのパロディだろと。んで初めて見たアニメがドロロのエピソードで、草尾毅だったが故に頭の片隅にタイトルが残ったわけでしたが、どんなもんかと漫画買ったところ、もちろんかなりハイレベルなパロディはあるものの、クレしんに通じるものがありました。クレしんやレツゴと違うのは、子供の視点が、ある程度自我の確立した中学生であったという点か。ボケがケロン星人側なので、子供は常に怒る側に立ってます。
んで、最初はケロロ小隊のキャストが個人的にツボ過ぎたせいもあってアニメ見始めたけど、初めて買ったコミックスで読んだ話が「決戦、ケロロ小隊24時」だったわけで、いきなり本作の核心に触れたというか。この話で、ママの侵略に関する発言や、10巻の作者コメントが、この作品のテーマなのかなと。

「ケロロ軍曹」は、基本的に一話完結で、ケロロ小隊が妙な侵略作戦を実行し、夏美に怒られるというのが基本パターンです。しかし、マンネリを防ぐために、様々な展開があります。一つはサブキャラメインの話。桃華や556などですね。しかし、これはあくまでおまけ。アクセントのある話として、たまにケロロ小隊が夏美に対し完全に優位に立つ時があります。
この場合、話のオチとしては作戦の失敗なのですが、その引き金となるのが、単純な軍曹のボケもあれば、ギロロの夏美への感情や、冬樹が友達であると言ってケロロが作戦をためらうという場合もあります。
このように、元々科学力で勝るケロロ小隊が作戦失敗するために、アクセントの付け方でさえもパターン化せざるを得ないため、あとは舞台設定などで変化をつけていくか、小道具やクルルの怪しい発明で話を作るしかありません。
第二シーズンは酷評されたようですが、やはり人気のあるエピソードは原作にあり、漫画の方では話のバリエーションが豊かです。

つまり何が言いたいかと言うと、「ケロロ軍曹」は、話を作り難いということです。あくまで俺の個人的な見解ですが。
ちびまる子ちゃんやサザエさんはそれこそ日常生活の日記をつけるが如くエピソードが生まれます。
しかしケロロ軍曹の場合、失敗前提で侵略を描かなければならず、全ての話の方向性が同じとも言えます(ちょっと乱暴ですが)。月刊の漫画に比べて、週一回のペースのアニメではよりマンネリに陥りやすい。

だからこそ、ストーリーが盛り上がるのは、侵略がかなり進むか、もしくはケロロ小隊の存続に関わるかですね。前者は今のところ無し。少なくともケロロが地球を支配した状況はかつて無かったはず。
後者は、各シーズンの最終話ですね。第一シーズンではケロン星からの緊急招集。第二シーズンではガルル小隊によるペコポン侵略代行。この話は地球が一度完全に侵略された状態にもなりました。

第三シーズンではペコポン侵略期限なる概念が登場し、ケロロ小隊の存続という問題をより具体化させています。これは良いアイディアだと思いました。いつものように侵略が失敗した時のギャグシーンも、期限が迫るにつれて深刻な状況になってきます(原作よりも対象年齢が引き下げられているせいか、目に見えるシリアスな描写などはないですが)。

そして、この侵略期限を知らせるタイマー自体のエピソードをアクセントとして使った上で、今回のキルル騒動に入るわけですが・・・。

ケロロ小隊には、選択肢が二つある。すなわち、侵略するか、撤退するか。
しかし、いずれも選べないのがこの作品最大の問題である。
侵略すれば、ケロロは冬樹との友情を裏切ることになる。今までのエピソードからすれば、この友情というのも、ケロロが居候するための演技であるとは思えない。そして、中古ソーサーの話からも、いつも冷たい夏美ですらもケロロを家族として受け入れていると判断できる。
日向家(ペコポン人)とケロロ小隊の関係について深く掘り下げたのが、「決戦、ケロロ小隊24時」です。
このエピソードでは、ケロロ小隊以外のケロン人が地球侵略を行います。すなわち、これに逆らうとケロロ小隊は反逆者。地球人とケロン人は敵。ママの言葉を借りれば侵略するものとされるものです。
新しい侵略者の攻撃を受けた際、ケロロ小隊は、日向家をを守ろうとする。ギロロはもともと夏美が危険にさらされると暴走して無条件に夏美を助けるし。ギロロは、敵性種族が化けている可能性がある以上、ガルル達が同士だとは確定していないと言って彼らと敵対します。それに対しガルルは「なるほど、良い機転だ」と発言。ここでも、ギロロは夏美と敵対したくはないがケロン星を裏切ることもできないジレンマに悩まされています。ガルルもおそらくそれを理解している様子。
そして冬樹は、ケロロを捕獲しようとするガルルに対し、アニメでは「軍曹は絶対に渡さない」とだけ発言。これだけでも、彼とケロロの間の友情を推し量ることはできますが、原作では、この部分は「軍曹はうちの捕虜なんだ。だから・・・」というセリフが増えています。冬樹が、ケロロ達は種族としては自分と敵対しているということも分かってるんですね。おそらく彼もケロロ小隊と同じように悩んでいるのだと思われます。

ちなみにこのエピソードで、冬樹はケロボールによる地球破壊を交渉のカードとして使ってます。これがカード足り得るのは、やはりモアの存在が原因でしょう。ケロン人も、侵略はあくまで地球を支配下に置くことが目的であって、地球自体が消滅したら侵略の意味が無くなるということでしょうか。
ちなみに、普段のエピソードでは、モアが地球を破壊しようとして、ケロロが慌ててそれを止めるという光景がよく見られます。モアは、立ち位置としてはドタバタに必須の不条理なパワーを持つギャグキャラですが、モアを止めた回数が、地球人より、ケロロの方が多いことからも、彼女の持つ地球を破壊できる能力は、間接的にケロロのペコポンに対する意思を示していると思えました(少々強引か)。ケロロの意思ってのは後述。

この「侵略」という問題に対して、劇場版では一つの解答が示されました。
クライマックスで、冬樹の「キルルが消えたら、軍曹はやっぱり地球を侵略するの?」という問いに対して、ケロロは「冬樹殿や日向家のみなさんがいるこのペコポンを侵略したいのであります」と答えた。

捉え方によっては抽象的過ぎる感じもしますが、ケロロにとっては、冬樹と一緒にガンプラを買いに行ける現状の生活が満足だということなのでしょう。
先のセリフの「侵略」を、今の生活を維持することと解釈するなら、ケロロのスタンスとしては、「ある国家・武装勢力が別の国家・武装勢力に対して、自衛ではなく、一方的にその主権・領土や独立を侵すこと。攻撃して攻め入る侵攻(invasion)と異なり、相手の主権・政治的独立を奪う行為」という意味での侵略行為を行うつもりは無いということなのだろう。
あくまで俺の個人的な解釈です。

であるならば、日常のエピソードにおいて、侵略作戦を実行するというのは、おそらくケロロ本人は望んでいないだろう。モアに関して述べた際に出てきたケロロの意思とはこれである。
だからこそ、こうしてケロロの意思がはっきりしたが故に、俺は「ケロロ軍曹」最終回を覚悟している。

これも個人的な意見だが、ハルヒに第二期はいらないと思っている。原作読んだわけでもないし、そもそも最終話だけみて色々思っただけだが、あの最終回はセカイ系、すなわちエヴァの比較対象にならざるを得ないジャンルとしては、しっかりと自己を確立してたと思う。某ゼーガペ○ンなんて悲惨だし。
だからこそ、設定云々は色々残ってるとしても、TVアニメという演出手法では、一応あの作品は行き着くところまで行っている気がする。あれの後に再び日常生活を描いても、やってることの繰り返しである。故に、あの最終回を越えるものができない限り、第二期はつくるべきでは無いと思った。実際、時系列シャッフルによってあの最終回以降の日常風景をすでに描写しているのだから、これ以上続ける必要もないと思う。それではただのSFになってしまい、せっかくセカイ系として確固たる地位を築いたのが台無しになりかねない。幽々白書のように引き際を見極めて欲しいものである。
エンターテイメント性とかは抜きにして、あくまでも個人的意見です。

同じように、劇場版でケロロは侵略行為をしないという意思表示をしたと解釈している俺は、マンネリ回避として、ケロロが日常的に侵略行為をしなくなる=「ケロロ軍曹」が終わることを覚悟しています。
仮にケロロ小隊が侵略を止めても、ドロロはとっくに地球に寝返ったと語っているし、タママはガキだから楽しければ良いだろうし、クルルはどーでも良いし(クルルファンの皆様、失礼しました)。ただ侵略しなくなれば、純粋な軍人であるギロロはどうするのかとちょっと不安。エンドレスワルツの五飛のような状態になりそうだ。

しかし、侵略行為を止めるという選択は、そのままケロン星への強制送還を意味しているため、ケロロ達の活動を安易に変えるわけにはいかないのが本作を見てて歯痒く感じるところ。

それをSFアニメとして御都合主義的に解決したのが、今回のエピソード「キルル 破滅の使者 であります」でした。

劇場版をパラレルワールド的な扱いにするのかと思ったが、上手く設定変更して、「優柔不断」をキーワードに無事事態を終結した。
今回も、シリアスの最中にギャグを挿入して小さなお子様でも楽しめるようになってたけど、正直俺は最後までハラハラドキドキでした。全然笑えなかった。
ペコポン星自体が優柔不断になったことで、「ケロロ軍曹」は終わるのかとも思ったが、ラストに、ケロロの「もう侵略しなくても良いのか」という問いに対し、ギロロはやはり侵略しなければと言いました。次回以降ケロロが侵略作戦を続行するための動機として必要だったのでしょう。裏を返せば、もはやケロロは周囲にやれと言われない限り侵略する意思が無いとも取れる、と俺は考えています。
これ以降マンネリ化を防ぐためには、シリアスかギャグを相当なレベルにまで持っていかないと厳しいものがありそうです。
しかし、原作よりも対象年齢を下げている故、いずれの場合でもかなりの制約が付きます。
これから先の展開はスタッフの技量に期待しています。

まぁ最終回を迎えた方がマンネリの危険は避けられるとはいえ、俺は動いてしゃべるケロロ小隊が見られるだけで嬉しいですが。と最後に声優びいきな結論を出したところでおしまい。ハルヒにはあんなこと言いましたが、単純に俺の思い入れの違いってことで、どーすか。ゲ〜ロ〜。

PS.ドロロファンからこの作品に入ったのに、最近ギロロが一番かわういです。

ちなみに、ケロロには、太公望と同様の魅力があります。今回の侵略も撤退もしない方法を模索したりする姿が特に。
典型的なボケ担当で、いつもギロロにつっこまれてはいるけど、おそらく小隊内で最も頭脳労働しているのは彼でしょう。
ガルルも言ってましたが、ケロロには隊長の素質があるかと思われ。
花見のエピソードでも、夜に雨の中場所取りしてて、ギロロと会話してるケロロに、寝てしまったタママが身を預けているシーンなんかでも、ほろっとくるものがあります。
いつもギャグばっかやってるけど、ケロロには全体を見渡す視点が備わってるのではないかと。
勝手に深読みしました。

今日は魚に30F目に青キャンかけたい気分です。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索